ファーウェイがエチオピアのAATVETによる初の職業訓練用相互接続ICTネットワーク構築を支援

背景

アディスアベバにあるアラジ農業・技術・職業訓練・教育訓練大学（Alage Agricultural, Technical, Vocational, and Educational Training College、AATVET）は、エチオピア教育省管轄の組織であり、官民あわせて331にのぼるエチオピアの技術・職業訓練学校や研修施設を取りまとめています。AATVETの目標は、職業訓練と技術研修を通じて知識と専門技術を高め、雇用を創出し、貧困を解消し、国内の経済成長を促進することです。

課題

オンラインビデオ教育と遠隔研修に対するニーズの高まり

オンライン教育や大規模公開オンライン講座（Massive Open Online Courses、MOOC）といったサービスが世界的に流行し始めるなか、エチオピアの職業訓練は多くの課題に直面していました。1つ目に、ICTネットワークを使用している職業訓練や研修施設がほとんどありませんでした。

知識やスキルの伝達は主に講師が行っており、遠隔教育は効率的ではありませんでした。2つ目に、学校や施設の講師の指導力にばらつきがあり、教育の平等を期すことが困難でした。3つ目に、国際的な専門家とのコミュニケーションをタイムリーに行うことができないため、学校側も生徒側も世界と歩調を合わせることに難しさを感じていました。

そこで、AATVETは、こうした現状を打開すべく、現代的な教育と、ネットワーク通信技術の急速な発展をベースとした、高度なICTネットワークを展開することに決めました。第1段階として、AATVETは12の職業訓練校にICTネットワークを展開して、知識と専門技術の効率よい伝達と学校間でのコミュニケーションを促進する計画を立てました。これにより、すべての生徒がデータセンターの高品質な教材にアクセスし、オンライン教育や遠隔教育を活用して、公平な教育機会を得られるようになります。AATVETは、高度なオンラインビデオ交流訓練センターを展開することで、講師と生徒が効率よく知識と技術をやりとりしたり、国際的な職業訓練機関と連携したりすることを可能にしたいと考えていました。

オンライン教育の展開を成功させ、情報に基づいた質の高いキャンパス間の相互連携を実現するために必要となるのが、高速で拡張しやすく、十分なWi-Fiカバレッジを備えたネットワークの構築でした。

解決策

高速なネットワークにより優れたサービスを提供

AATVETにはクラウドアプリケーション、VoIP、HDビデオ会議、監視といった高帯域サービスが不可欠でした。そこでファーウェイが提案したのが、高速なアジャイルネットワークソリューションです。ネットワークアーキテクチャは、アクセス、集約、コアの3レイヤーで構成されています。このソリューションにより、キャンパスのオフィスエリア向け統合ネットワーク計画を実現し、トラフィック転送プロセスを簡素化し、ネットワークパフォーマンスを向上させることができます。コアレイヤーでは、ファーウェイの高速アジャイルスイッチであるS12708がイーサネットネットワークプロセッサ（Ethernet Network Processor、ENP）を使用して、10GEから40GE、そして100GEへのスムーズな進化をサポートします。アクセスレイヤーでは、ファーウェイの次世代ギガビットアクセススイッチであるS5720LIがデスクトップでのギガビット体験を実現します。そして費用対効果のよいファーウェイの802.11ac対応アクセスポイント（AP）であるAP4030DNが、Wi-Fiカバレッジを提供します。

また、S12708アジャイルスイッチとファーウェイENPカードを組み合わせて、ネイティブなアクセスコントローラー（Access Controller、AC）技術を提供し、この技術を用いてコンバージド型の有線/無線ネットワークを構築します。有線/無線トラフィックを一元的に制御、管理、転送することで、ネットワークO&Mを簡素化します。また、最大でテラビット級のワイヤレス帯域幅を提供するS12708は、従来の独立型ACでワイヤレストラフィック転送時に発生していたボトルネックの解消も実現します。この技術により、講師と生徒がHDビデオ教材にアクセスする際にビデオがフリーズすることがなくなり、スムーズで高速なダウンロード/アップロードサービスを利用できるようになります。

コアスイッチCSS2の技術が信頼性の高いネットワークを保証

AATVETには多くの分校があるため、キャンパスネットワークのコアレイヤーには高い信頼性が欠かせません。このレイヤーでは、MPU（Main Processing Unit）の1+Nバックアップを実現する、ファーウェイ独自の第2世代クラスタースイッチシステム（Cluster Switch System Generation2、CSS2）技術がS12708スイッチに採用されています。メンバーとなっている筐体のいずれか1つのMPUが正常に稼働している限り、クラスターは安定稼働を続けられます。これにより、クラスターの信頼性が大幅に向上します。筐体間の遅延は4マイクロ秒であり、筐体間のスムーズなトラフィック転送が可能です。

Wi-Fiカバレッジネットワークが高密度エリアでのワイヤレスアクセスを保証

AATVETの図書館や食堂などの多くの人が集まるエリアには、当初Wi-Fiカバレッジがありませんでした。この問題を解決するため、ファーウェイは最大1.167Gbpsのスループットを誇るギガビットAP（802.11ac AP4030DN）を展開しました。このAPを展開することで、従来の802.11n APと同じ条件で比較した場合、ユーザーあたりの帯域幅が70%拡大します。さらにWLANの展開にあたっては、ファーウェイが自社開発した3Dネットワーク計画ツールであるWLAN Plannerを使いました。WLAN Plannerはネットワーク品質に影響を与える様々な要素を3次元でとらえ、従来の2D計画ツールにつきものだった複雑な環境での計画ミスを排除します。さらに、WLAN Plannerを使うことで図書館、オフィス棟、そして寮なども確実にカバレッジ範囲内に入れ、AP無線同士の干渉を防ぐこともできます。人口密集エリアでのアクセス技術（低速STAのアクセス制御、マルチユーザー衝突制御、マルチユーザーアクセススケジューリング、公平なエアタイムスケジューリングなど）も使用し、人口密集エリアにおけるユーザーのインターネットアクセス体験を効果的に向上します。

ファーウェイの802.11ac対応AP8130DN APは、クリアな屋外Wi-Fiカバレッジを実現します。APの革新的なデュアル5G無線技術と、2.4G/5Gの切り替えで、アクセスできるユーザーの最大数を30%増やし、ワイヤレス帯域幅を50%拡大することができます。AP8130DNはアンテナサージ保護を内蔵した設計になっているため、追加でサージ保護器を用意する必要がありません。このことは、お客様の投資コスト削減と、容易なネットワーク保守を実現します

アジリティ機能により拡張性の高いキャンパスネットワークを実現

ファーウェイのS12712アジャイルスイッチは、将来のワイヤレスキャンパスの拡大や集中管理を見据えたネイティブAC機能を備えています。この機能があれば、共通のスイッチモジュールを使用して有線ネットワークとのスイッチングサービスを提供し、多数のAPを管理することができます。管理するAPの数を増やしたい場合は、S12712にライセンスを追加するだけです。有線/無線ネットワークを集中管理することで、効率が50%向上し、O&Mコストを削減することができます。従来の有線/無線ネットワークで使用していた分離型のACでは、デバイスやO&M、保守費用が追加で必要でした。

AATVETの講師と生徒の継続的な増加に対応できるよう、ファーウェイのキャンパスネットワークはお客様の将来的なネットワーク拡張ニーズを満たし、投資コストを抑えます。S12708は最大384 × 10GEインターフェースの集約をサポートし、S7700はCSS技術をサポートします。また、アクセスデバイスはインテリジェントスタック（Intelligent Stack、iStack）技術をサポートし、複数のネットワークレイヤーでの拡張需要に応えます。さらに、ネイティブAC機能がライセンス拡張をサポートしているため、1台のACで最大2,000台のAPを管理することが可能です。

利点

教育業界では、クラウドコンピューティングやビッグデータ解析などのアプリケーションにより、オンライン教育やモバイル教育が一般的になっています。AATVETが本当に求めるものを理解することで、ファーウェイは第1段階のネットワーク展開目標を達成するだけではなく、拡張しやすく、保守の容易な、高速スマートキャンパスネットワークの構築を支援することができました。このネットワークにより、講師と生徒はワイヤレスオフィスや学習用ネットワーク環境でスムーズなインターネットアクセス体験を享受できるようになります。そして、エチオピアにおける新たなキャンパスネットワークのベンチマークとなるはずです。ファーウェイのアジャイルネットワークソリューションは、これからもお客様のご要望に注力し、より高度で効率性の高い信頼できるアジャイルネットワークの構築を支援していきます。