モンクット王国工科大学ラクラバン(KMITL)は、タイを代表する科学技術大学であり、各国の大学で最も強力なICT能力を備えています。バンコクに位置するこの大学は、技術系学部で最も有名であり、機械・電子・建築・制御工学、マネージメント、コミュニケーション、薬学、一般教養などのカリキュラムを提供しています。

KMITLのコンピュータセンターは、さまざまな教育機能を統合したSDNベースの高性能な統合キャンパスネットワークの構築を目指しています。ファーウェイは、コンピュータセンターの設計図に完全に適合するすべてのサービスを備えた総合的なキャンパスソリューションを開発しました。

多くの保守的な大学とは異なり、KMITLのコンピュータセンターは、ICT開発状況を把握し、キャンパスネットワークの高度な計画をまとめました。彼らは、さまざまな教育機能を統合したSDNベースの高性能な統合キャンパスネットワークを構築することを目指していました。10か月近くにわたる協議とカスタマイズ開発を経て、ファーウェイは、コンピュータセンターの計画と完全に合致する、すべてのサービスを備えた総合的なキャンパスソリューションを開発しました。

ゼロからこのキャンパスネットワークを構築した方法、構築中に直面した問題、問題を克服した方法など、以下で説明していきます。

当初は意見の相違も

ネットワーク構築とO&Mを担当するKMITLコンピュータセンターは、キャンパスネットワークの構築に対する独自の理解と考えを基に、コンピュートノード、ブロックストレージノード、オブジェクトストレージノードに関する具体的な要件を提示しました。要件は明解でも、誤解を避けるためにはスムーズなコミュニケーションが重要です。たとえば、コンピュータセンターの要件では、コンピュートノードはオープンでなければならず、ファーウェイのソリューションにはOpenStackへの対応が求められました。しかし、その当時、ICT業界におけるOpenStackの開発、適用可能なシナリオ、O&Mに対して誤解している面があったため、さまざまなベンダーの複数のOpenStackバージョンがバラバラに存在することになり、オープンソースの原則に反するという懸念を持っていました。

さらに、KMITLの技術チームは、ブロックストレージが主にVMデータの格納に使用されていたため、オープンソースの分散ストレージソフトウェアCephを搭載した分散型ブロックストレージが必要でした。また、ブロックストレージをゲートウェイに接続してオブジェクトストレージを提供することを推奨しました。

積極的なコミュニケーションを重ねて、ファーウェイは、プロジェクトの背後にある詳細な要件を探り出し、最適化された本格的なソリューションを提供しました。ファーウェイは、VMデータのストレージ要件をサポートするためにFusionStorageシステムを、ファイルを保存するためにOceanStor 9000分散NASシステムを導入しました。このソリューションは、ゲートウェイを介さずにNFS/CIFSプロトコルがサポートされているため、導入が容易でした。NVMe SSDをキャッシュとして使用することで、FusionStorageハイブリッドストレージは、Cephを実行しているオールフラッシュアレイのパフォーマンスより数倍高いパフォーマンスを発揮します。OceanStor 9000は分散型RAIDを採用しており、Cephのトリプルライト冗長性に比べてリソース効率性とセキュリティを向上させることができます。さらに、拡張性が高く、コスト管理が容易です。最終的に、お客様はファーウェイの専門性の高さを完全に信頼し、ファーウェイの提案をすべて受け入れました。

問題は細部に潜む

ファーウェイは、KMITLの要件を徹底的に分析して、キャンパスネットワークの条件に応じたソリューションを提案したことで、KMITLはそのプロフェッショナルな姿勢と豊富な知識に感銘を受けました。たとえば、KMITLは、サーバーがバラバラに展開されているため、場所に依存しない仮想ネットワークの展開を優先事項として挙げました。また、ファーウェイは、ネットワーク構成を自動化する必要性を示し、KMITLが現在使用しているセルフサービスのネットワーク構成方法よりも効率化できるよう支援しました。さらに、KMITLは、仮想ネットワークのアクセスセキュリティを確保するための要件に基づき、詳細なセキュリティチェックを実行してトラフィックをセキュリティリソースプールに転送することを要求しました。

ファーウェイの最終的なソリューションは、KMITLの要件を完璧に満たしています。ファーウェイのソフトウェア定義のアジャイルスイッチは、カスタマイズされたソリューションの開発に対応しています。このソリューションは、ベンダーに依存しないオープンプラットフォームを使用し、さまざまなストレージサービスをサポートし、必要な投資を削減します。さらに、異機種の一元的な管理に対応しているため、O&Mコストを削減できます。

KMITLキャンパスネットワークの構成

数か月にわたる展開の結果、ファーウェイの支援でKMITLは当初の計画と構想を実現しました。

現在、KMITLのキャンパスネットワークはキャンパスネットワーク、データセンターネットワーク、研究開発ネットワークで構成されています。キャンパスネットワークの組織構造では、異なる組織のネットワークはサービス要件に基づいて相互接続または隔離されています。ネットワークサービスモデルでは、各仮想ネットワークは統合物理キャリアネットワークであるKMITL NGキャンパスに基づいて独立したセキュリティドメインを形成します。仮想ネットワークは互いに分離されており、セキュリティ制御は仮想ネットワーク内のセキュリティグループによって実装されています。

仮想キャンパスネットワークアーキテクチャでは、KMITLにSDNベースの仮想キャンパスネットワークを構築しました。VXLANネットワークアーキテクチャを使用してキャンパスネットワークとDCの両方を展開し仮想キャンパスネットワークサービスを提供しています。このキャンパスネットワークによって、同大学の職員と学生は、100Gのノンブロッキング転送、広帯域、高い安全性および有線と無線の細部にわたるコンバージェンスがもたらすユーザー体験の向上という利点を享受できます。さらに、仮想ネットワークからファイアウォールまで各レイヤー単位のセキュリティ分離が行われ、セキュリティグループごとのネットワークセキュリティが確保されます。

KMITLは、マシンルームの場所の決定に関しても問題を抱えていました。既存のマシンルームは古く、改修作業は困難でした。しかし、KMITLの敷地にマシンルームを新たに建設することは、労力と時間の点で多大なコストを伴うことが考えられました。そこで、KMITLが求めたのが、コンテナベースのデータセンターでした。コンテナベースのデータセンターでは、フットプリントの縮小や導入の容易さなどの利点があります。コンテナには、電源、冷却システム、キャビネット、ケーブルレイアウト、防火、雷保護、監視など、必要なすべての設備が備わっています。コンテナベースのデータセンターソリューションは、環境を変更することなく大学の教育データのコンピューティング要件を満たすことができます。ファーウェイのプレハブ型のオールインワンデータセンターソリューションは、KMITLの要件に完全に適合しています。

どんな協業においても意見の相違はつきものです。しかし、幸いにもファーウェイはKMITLの視点に立って、サービス要件により的確な形で対応できるキャンパスネットワークの導入方法を検討しました。KMITLとファーウェイの共同での取り組みと徹底したコミュニケーションによって、このソリューションが実現し、KMITLに以下の利点をもたらしました。

  • 100GやSDNのような業界をリードする最先端のICT技術により、KMITLがタイの大学のなかで主導的な地位を確保。

  • 統一された物理ネットワークは、仮想化をサポートし、リソースの共有と大学の各部門のサービスの分離が可能。

  • 教育クラウドプラットフォームが導入された後、クラウドサービスはKMITLおよび他の大学の部門にリースすることが可能。

KMITLの100Gを超えるSDNキャンパスネットワークは、他の大学のITシステム構築のベンチマークとなり、タイだけでなく世界中の教育業界向けのハイエンド100G SDNおよびクラウドデータセンターのショーケースを提供することでしょう。

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