アンドレアーニ物流グループ(Andreani Logistics Group)は、アルゼンチン最大の物流企業として、高度なIT計画、構築コンセプト、デジタルシステムをリードしています。しかし、1945年の創立以来、企業の成長が自社のレガシーITシステムの能力を上回っていました。幸運なことに、アンドレアーニは十分に計画されたクラウドソリューションに解決策を見いだしました。
70年以上前の創立当初から、アンドレアーニはアルゼンチンとブラジルにおいて4つの事業(物流、医薬品、郵便物流、不動産)を柱に展開してきました。これに伴うサービスの成長により、インフラストラクチャへの負荷が高まり、通常の対応では解決でませんでした。投資が無計画になり、IT構築も大規模になりました。
インターネット + 物流
物流において、アンドレアーニはB2B分野に力を入れており、エンドツーエンドの物流パッケージの一環として倉庫保管と流通のソリューションを提供しています。現在、eコマースのデジタル分野に進出し、トランザクション処理能力を強化する技術への投資を増やしています。
アンドレアーニのeコマースプラットフォームは、稼働を開始した時点で、製品の倉庫保管、梱包、サプライヤー管理、宅配といったサービスの管理と制御機能を備えたエンドツーエンドのソリューションを顧客に提供するアルゼンチン初のプラットフォームになりました。
現在、アンドレアーニはアルゼンチンで複数の拠点を運営し、専門チームがサポートする一元的な注文・配送ネットワークを構築しています。専門チームは、オンライン販売のソリューションやツールを開発し、プロセス、倉庫保管、商品準備、配送、出荷追跡を継続的に最適化しています。
そのサービス範囲において、多国籍グループに各分野に特化した専門家が派遣されるとともに、カスタマイズされた完全なeコマースサービスソリューションも提供されます。このソリューションは、多国籍グループが独自のプラットフォームで製品の販売を促進するうえで役立ちます。
アンドレアーニの顧客は数千に及び、サンタンデール銀行(Santander Bank)、ヒューレット・パッカード(Hewlett-Packard)といった大手企業も含まれます。
ところが、アンドレアーニのIT能力は低下し始めていました。
サービスに関する4つのボトルネック
第1に、アンドレアーニはほとんどすべてのサービスをクラウドプラットフォーム上またはホスティングモードで管理しています。現在、4つの通信事業者がアンドレアーニのデータセンターにサービスを提供しています。そのため、集中型O&Mに必要な統合プラットフォームがありません。
第2に、eコマースを立ち上げた後、トラフィックが増加し、システムアーキテクチャに拡張性がないため、ニーズに応じて柔軟にリソースを割り当てることができません。ユーザーはピーク時にプラットフォームへのログインに何度も失敗するため、ユーザー体験がよくありません。また、災害復旧(DR)も存在しません。
第3に、物流のリアルタイム要件を満たすには、常に安定した大規模な専用ネットワークが必要になります。しかし、アンドレアーニのSAP ERPシステムのクラウドサービスプロバイダーはローカルノードを構築していないため、アプリケーションシステムのネットワーク遅延が増加し、ユーザー体験が悪化しました。
第4に、アンドレアーニのコア倉庫保管システムはリモートDRにVMwareのVeeamソリューションを利用しています。しかし、DRセンターの構築コストは高く、DRセンターはサービスが中断しないという保証はできません。
テレフォニカ(Telefónica)のオープンクラウドによる解決
2016年10月、ファーウェイとテレフォニカビジネスソリューションズ(Telefónica Business Solutions)は、チリ、ブラジル、メキシコにおけるオープンクラウドサービスとクラウドサーバーサービスを共同でリリースしました。これは、アンドレアーニの従来の企業内ITシステムをクラウド化するためのパートナーコラボレーションです。
オープンクラウドとクラウドサーバーの両方の技術サポートに加えて、ファーウェイのソリューションは、サーバー、ストレージ、ネットワーク、クラウドOSなど、ソフトウェアとハードウェアに対応します。
アンドレアーニの4つのビジネス要件に対処するために、テレフォニカは同社の2つのクラウドソリューションに基づき、計画、修正、事後のO&Mに関して、以下のような4つの具体的なソリューションを開発しました。
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O&M:
クラウド化計画を策定して、既存のアプリケーションシステムをテレフォニカのオープンクラウドに移行し、分散しているデータセンターを統合O&Mプラットフォームで管理します。
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インフラストラクチャ:
クラウドサーバーと、柔軟性と拡張性を備えたサービスを展開して、アンドレアーニのeコマースプラットフォームのITインフラストラクチャをクラウド化します。これにより、プラットフォームでリソースを簡単に増減できるようになります。
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ユーザー体験:
テレフォニカのネットワークリソースと地の利を生かして、クラウドアプリケーションのユーザー体験を改善します。また、ローカルノードを構築して、SAP DEV、QASといったアンドレアーニのサービスアプリケーションがネットワーク遅延の影響を受けないようにします。
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DR:
PAYUベースのDRソリューションを実装して、安定性と費用対効果の高いコア倉庫保管を実現します。
スマート化に向けた3段階の計画
テレフォニカとファーウェイは、アンドレアーニのビジネス要件を満たすためにオープンクラウドのパブリッククラウドサービスを共同で立ち上げ、カスタマイズされた3段階のクラウド化計画(eコマースのクラウド化、SAPネットワーク遅延の削減、コア倉庫保管DRシステムのクラウド化)を策定しました。
現在、プロジェクトは第2段階にあります。
これまでに、アンドレアーニはリソースを異機種のクラウドプラットフォームで一元的に管理できるようになり、O&Mの効率を改善しています。高性能と信頼性の高いソリューションとともに、移行を含むバックアップとDRのソリューションを完備して最適化することで、アンドレアーニはDRのTCOを削減しています。
テレフォニカのオープンクラウドは、IoT、ロボット、プロセスの最適化に向けてアンドレアーニのサービス製品を進化させるきっかけとなり、アンドレアーニのデジタル変革を加速してスマートロジスティクスのリーダーにしました。
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