近年、最先端の製造分野がGDPの成長とグローバル市場での競争力の鍵となると考え始める国が増えてきています。接続性を超越した高度ネットワークや、これまでにない生産性の向上を実現するセンサーなど、さまざまな次世代デジタル技術によって、第4次産業革命が巻き起こされるでしょう。

グループのバイスプレジデントであり、ABBロボティクスアンドアプリケーションズ(ABB Robotics and Applications)の責任者でもあるジョニ・ラウタヴオリ(Joni Rautavuori)氏によると、世界中の政府が成長の原動力として注目している要素は、自動化とデジタル化です。「名前は異なるものの、多くの国が一様に製造業を柱としたイニシアチブを打ち立てています」と、ラウタヴオリ氏は言います。たとえば、中国の「中国製造2025」、ドイツの「インダストリー4.0」などがこれにあたります。

デジタルソリューションと、お客様のデバイスを接続してクラウド側で高度な解析を行い、自動化システム、ロボット、モーターを用いて物理世界を制御するプラットフォームの組み合わせは、企業にとって非常に大きな価値を生み出します。

ABB中国のバイスプレジデントであり、事業開発およびデジタルソリューションの責任者兼CIOであるジェリー・リー(Jerry Li)氏は、産業のデジタル化が世界的にも大きな注目を集めるなか、デジタル技術が産業市場における新たなイノベーションを推進していると認めています。「ほとんどの政府機関や企業が求めているのは、電力効率と生産性の向上、そして安全な運用でしょう。それを実現するには、運用方法の改善がどの企業でも必要です」と、リー氏は言います。

デジタルソリューションと、お客様のデバイスを接続してクラウド側で高度な解析を行い、自動化システム、ロボット、モーターを用いて物理世界を制御するプラットフォームの組み合わせは、企業にとって非常に大きな価値を生み出します。

迅速な採用

ここ数年で、クラウドコンピューティングやモビリティ、IoT、さらには最新素材など、さまざまな革新的技術が導入され、短期間のうちに産業分野で採用されるようになってきたと、同氏は言います。ABBが製造分野の企業にとって明らかに不可欠だと考えているのが、生産効率と電力効率の改善です。

生産性の向上をサポートする幅広い製品やサービスの提供で知られるABBですが、「実は製造企業でもあり、さまざまな機器を製造しているのです」と、リー氏は述べています。100か国以上で操業しているABBは、単なるロボット企業ではありません。ソフトウェアレイヤーから自動化システム、さらにはロボットやモーター、ドライブといった製品まで、幅広いソリューションを扱っています。従業員は全世界で136,000人にのぼり、中国では17,000人が働いています。これまでに7,000万台を超えるデジタル対応デバイスを接続し、70,000台以上のデジタル制御システムと、6,000件の法人向けソフトウェアソリューションをお客様に導入してきました。「いずれもデジタル化に向けた素晴らしい基盤となっています」と、リー氏は言います。

デジタルソリューションと、お客様のデバイスを接続してクラウド側で高度な解析を行い、自動化システム、ロボット、モーターを用いて物理世界を制御するプラットフォームの組み合わせは、企業にとって非常に大きな価値を生み出します。

パートナー

ABBは、業界のあらゆる主要プレイヤーとのパートナーシップを常に模索しています。リー氏は次のように考えています。 「デジタル世界にはあまりに多くの要素があるため、自社だけですべてをまかなえる企業はありません。デジタル化を目指すなら、ITとOTのコンバージェンスについて話し合いましょう」

スマート製造および産業用ロボットの分野でファーウェイとパートナー関係にある同社は、最新のワイヤレス接続技術とスマートセンサーを組み合わせて、製造における課題を解決する新たなソリューションを見つけようとしています。「当社はさまざまな業界とともに、共同でのソリューション開発や市場開拓にも取り組んでいます」と、リー氏は言います。

予測では、2019年までに中国の産業用ロボットの台数は260万台にまで増え、2014年には労働者10,000人に対して36台だった割合が、2020年には労働者10,000人に対して150台になると予測されています。リー氏は、これにより爆発的な成長が起こるとしています。

ラウタヴオリ氏は、中国は今や最も急速な成長を遂げる世界最大規模のロボット市場になったと述べています。しかし、国全体の労働人口に対する産業用ロボットの割合で比べた場合、中国は世界のトップである日本や韓国、ドイツ、米国に大きく水をあけられています。「中国はまだ世界を追いかけている段階ですが、急速に追いつきつつあり、その過程にあることを、私たちは嬉しく思います」と、ラウタヴオリ氏は語ります。

ロボットの教育

ABBがAI分野で力を入れているのは機械学習だとラウタヴオリ氏は言います。「スマートコンポーネントやセンサーが発展したことで、機械学習を利用してロボットをプログラミングする新たな方法を開発できるようになりました」

たとえば、ラウタヴオリ氏によれば、同社では、ロボットをプログラミングするのではなく、教育するようになってきているといい、次のように述べています。「まずロボットに物事のやり方を見せます。ロボットはスマートコンポーネントとセンサーを活用し、子供が何かを覚える時のように、自ら理解して学習します。すなわち、教えて、やらせてみるのです。こうして、将来的にロボットをよりシンプルにし、使いやすくするためのソリューションを開発しています」

ラウタヴオリ氏は、産業用ロボットはマスカスタマイゼーションのニーズに対応できるよう、より柔軟性を確保する必要があると話したうえで、ABBのモーションコントロールやオンライン/オフラインでのプログラミングに関するソフトウェア機能が広く市場で認知されていると付け加えました。産業用ロボット市場はまだあまり開拓されていない市場だと、ラウタヴオリ氏は考えています。40年以上にわたりロボット業界で活躍しているABBも、産業分野にしか注力していません。

しかし、ロボットが人々の日常に大きな影響を与えるようになっていくであろう状況を踏まえ、彼はこう締めくくりました。「多くの企業がコンシューマー市場に進出するのを見てきました。ロボットと呼べるものであるかどうかはともかく、皆さんの毎日を支える技術がこの先たくさん登場してくるでしょう」

取材:モバイルワールドライブ(Mobile World Live)のジャスティン・スプリンガム(Justin Springham)氏、リンダ・シュー(Linda Xu)

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